従業員がたった1人退職しただけで会社の経営が立ち行かなくなり、倒産に至る「従業員退職型」の倒産が過去最多ペースで増えていると報じられています。人手不足はもはや一部の業界だけの問題ではなく、日本中の中小企業を静かに追い詰めているようです。
従業員「退職」を理由とした倒産が5年連続で増加
従業員の退職をきっかけに事業継続が困難になり倒産する「従業員退職型」の倒産件数が5年連続で増加し、過去最多ペースで推移しているとYahoo!ニュースで報じられています。同記事では、賃上げができずに人材を確保できなかったことが原因とみられる倒産も発生していると指摘されており、中小企業の資金繰りと人手確保の両立がいかに難しいかがうかがえます。
なぜ1人の退職が倒産につながるのか 背景と実態を深掘り
なぜ従業員1人の退職で会社が立ち行かなくなるのか
従業員数が少ない中小・零細企業では、特定のスキルを持つ社員や現場を回すキーパーソンが1人抜けるだけで受注や生産体制そのものが維持できなくなるケースがあるとされています。人員の余裕がないため代わりの人材を採用する時間的・資金的な余裕もなく、事業縮小からそのまま倒産に至る構造があると指摘されています。
賃上げできない中小企業の実態とは
大企業を中心に賃上げの動きが広がる一方で、原材料費や物流費の上昇分を価格に反映しきれない中小企業では、賃上げの原資そのものを確保できない状況が続いていると報じられています。Yahoo!ニュースによれば、賃上げできずに従業員の離職を招き、結果として倒産に至った企業も出てきているとのことです。求人を出しても賃金水準の低さから人が集まらず、既存社員の退職を止められないという悪循環が生まれているとみられます。
円安によるコスト上昇も重なっている
人手不足に加えて、円安によるコスト増も中小企業を圧迫しているようです。Manegyによると、2024年7月の「円安」を要因とした倒産は5件、1月から7月の累計は50件に達しており、卸売業や小売業でもそれぞれ倒産が発生していると報じられています。仕入れコストの上昇分を賃金に回す余地がさらに狭まっていることがうかがえます。
2026年にかけて懸念される危機とは
「従業員退職型」倒産は過去最多ペースで推移しており、このままの傾向が続けば2026年にはさらに件数が増える可能性があるとdメニューニュースで指摘されています。人手不足が改善しないまま最低賃金の引き上げが続けば、賃上げの原資がない企業ほど淘汰される速度が速まるとの見方も示されています。
世間の反応・SNSの声
SNS上では「大企業の賃上げニュースばかり報じられるけど、中小企業の現場はこんなに苦しい」「1人辞めただけで倒産するなんて他人事じゃない」といった声が上がっています。また「自分の会社もギリギリの人数で回している。同じことが起きても不思議じゃない」と自身の職場に重ねて不安を感じる投稿も見られるようです。一方で「人手不足なら賃上げすればいいという単純な話ではない、価格に反映できない構造こそが問題」と、値上げできない業界構造への言及もみられます。
まとめ
今回の「人手不足倒産」が話題になっているのは、賃上げ報道の裏側で見えにくかった中小企業の苦境が、具体的な倒産件数として可視化されたことが大きいと考えられます。大企業の賃上げが進むほど、資金力のない中小企業との人材獲得競争は激しくなり、結果的に人が流出しやすくなるという構造は今後も変わりにくいでしょう。2026年に向けては、価格交渉力の弱い下請け企業や、特定の技術者に業務が集中している零細事業者ほどリスクが高まると見られます。行政による賃上げ支援や価格交渉のガイドライン整備が進むかどうかが、今後の倒産件数を左右する分水嶺になりそうです。